芭蕉蘇鉄図屏風

画面右に大小2株の蘇鉄、左には並列する2株の芭蕉を描いている。蘇鉄は幹を褐筆で素早く描くことで乾いた樹皮を表現し、一方、四方に広がる葉はたっぷりと墨を含ませた力強い線により、硬く張りのある質感を表している。芭蕉は、しなやかな幹を薄墨で一気に引き、櫛葉状の葉は、墨の濃淡を使い分けることで立体的に表す。シンプルな構成ながら、墨と筆勢の使い分けにより、植物の生命力に満ちた画面が作られている。<br /> 作者は、長浜町の絵師・山縣岐鳳。画面右下に「有隣軒岐鳳写」の署名がある。この署名は法橋叙任以前の作で、使用例もほとんどなく、また、本作の作風は寛政年間の作例に近い。江戸時代の長浜を代表する絵師・岐鳳の画業初期の作と思われる。

項目 内容
資料名称 芭蕉蘇鉄図屏風
分野カテゴリ 絵画
時代カテゴリ 江戸時代
作者 山縣岐鳳筆
員数 2曲1隻
材質技法 紙本墨画
寸法(cm) 縦158.6、横170.0
時代・制作年 江戸時代(18~19世紀)
所蔵 長浜城歴史博物館蔵
登録番号 B119